働くということ

日本経済新聞社編「働くということ」を読了。


本の内容は、さまざまな人の働き方を紹介するものです。
それぞれの人の話は短く、2-3ページくらいでどんどん次の人に移っていきます。
新聞記事のシリーズを読んでいる感じでした。
それぞれの人の働き方の紹介が中心なので
何か強い主張が訴えられているわけではありません。


しかし、さまざまな人の働き方、働く上での悩み、あるいは、働きがいを紹介していくことで、
表題のとおり「働くということ」はどういうことなのか
ということを考える材料を提供しようとしているのかなと思います。


1つ1つの話は掘り下げられないので、もっと読みたかった話もありました。
ただ、紹介されている人の数が非常に多いのでページ数的にはしょうがないのかなと。
逆に、これだけの数の人の働き方を浅くでも知ることができる機会はそう多くないので
読んでみて損はなかったなと思います。


働きがいを持って働いている人の話はやはり読んでいてもやる気をもらえますが、
こういう働き方は幸せなのかなーっていうのはちょっと疑問に思います。

ノイローゼ特約保険付き入社
「万が一のことがあり、業務に支障を来す場合に備えて、精神障害担保特約付き生命保険にまで入るという。米国の一流大学院で経営学修士を取得した同僚らが競い合う環境で、雇用契約は一年で切れる。短期間に成果を出さなければ契約更新はなく、即、解雇だ。」
日本経済新聞社編「働くということ」p308-309)



あと、働き方の紹介とは別にコラムのようなインタビューがいくつか挿入されています。
その中で、玄田有史さんの下記の話が特に印象に残りました。

「ある再就職支援会社が退職者に『自分がしてきた仕事を四―五行でいいから書いてみてください』と求めたところ、ほとんどの人が書けなかったという。何に誇りを持って働いてきたのか、自分の言葉で語れないことに苦しむのが実情だ。一年に一回でもいいから、自分が何のために働いてきたのか考えた方が幸せなのではないかと思う」
玄田有史
日本経済新聞社編「働くということ」p55)



自分の仕事って何なのか、何のためにあるのか、
例えば子供や新卒採用の面接に来た学生に聞かれたときにどう答えるのか、
ビシッと答えられるような働き方を常にしたいなと感じた話でした。