ハイパーリンクの発想は欧米式のパラグラフライティングがベースにあるのかもしれない

加藤恭子「言葉でたたかう技術 日本的美質と雄弁力」という本を読んでいる中で思った話。

「パラグラフ」の重要性

著者の方が、戦後すぐにアメリカに留学した時の話で「パラグラフ」(段落)に関する話が印象に残りました。著者が、大学院で先生に徹底的に教えられたのがパラグラフの重要性です。具体的には、次のように構成していくことが求められていました。


論文全体の構造

  1. 導入部分(序論)
  2. 主要部分(本論)
  3. 結論部分(結論)



パラグラフの構造
 (A)トピック・センテンス
 (B)主要部分
 (C)結論センテンス


論文全体もパラグラフも構造は同じです。主題を述べ、それを受けて議論を発展させて例証し、結論を述べる。本書では次のように述べています。

「論文全体の序論、本論、結論の縮図が、一つ一つのパラグラフにも見られるのである。基本的構成は同じということになる。」(p75)



こういう論文の書き方が、著者が勉強していた日本の大学での論文の書き方と大きく異なっており、指導教官の方からは厳しい評価を受けます。その話はその話で面白かったので別途まとめたいと思いますが、ここではパラグラフ間の関係についての話が特に印象に残りました。


パラグラフライティングとハイパーリンク

論文全体の中で、第一パラグラフは全体の導入部を担うと同時に、パラグラフ内にはトピックセンテンス、主要部分、結論センテンスを持っています。第一パラグラフの結論センテンスを受けて、第二パラグラフのトピックセンテンスが始まります。このあたりについて、著者は次のように説明しています。

「次に第二パラグラフに移るのだが、いきなりぽつんと(A)のトピック・センテンスが出てきてはいけない。第一パラグラフのアイディアを、第二パラグラフへつなげる、つまり"リンク"が必要である。そのためには、第一パラグラフの最終センテンスのアイディアを、第二パラグラフのトピック・センテンスに取り入れる。そして、そのパラグラフも、(B)主要部分、(C)結論センテンスへと進む。」(p76)



ここを読んだときに、あれ、どっかで見たような話だなと。具体的には、「リンク」というキーワードに引っかかったんですが、これって、Webのハイパーテキストハイパーリンクと同じような話じゃないかと感じました。パラグラフ間をリンクさせるっていう話が、ハイパーリンクでWeb上のテキスト同士をリンクさせるっていう話を同じ構造になっています。


こういうパラグラフライティングの発想がハイパーリンクの発想にもつながってるのかなーとふと思ったのでした。そうすると、ハイパーリンクの考え方って欧米の方が出てきやすい土壌があったのかなーとも思います。振り返って、日本における文書の作り方ってどうだったんやろうかというところも気になるところです。ぼんやり考えてみたいところです。