惚れ込むべきは商品でなく顧客、売っているのは商品ではなく解決策





表題の話は、「ハイパワー・マーケティング」という本に書いてあった内容です。他の本にも似たようなことは書いてありますし、言われてみれば当たり前の基本なんですが、ついつい忘れがちなので、改めてメモっておきたいと思います。

愛着を持つべきなのは自社の製品・サービスではなく顧客

自分が売っている製品やサービスは、最終的には顧客の役に立ってこそ意味があるものです。ですが、ついついどうやって売ろうかということに意識がいってしまいます。本では次のように述べられています。

「たいていの人ならこう考える。
 「買ってもらうには、何ていえばいいだろう?」
 こう思う代わりに、あなたはこういうべきなのだ。
 「私はクライアントに何を与えられるか?私が与えるべき利益は何か?」」
((ジェイ・エイブラハム「ハイパワー・マーケティング」p69)

どうやって売ろうか、どうやって買ってもらうかという時点で自社の製品やサービスの視点からの考え方になってしまっています。そうすると、どうしても自社の製品やサービス中心の考え方になってしまい、顧客への意識がおろそかになってしまいます。

「多くの人々が犯している致命的なミスは、間違ったものに愛着を持っていることである。
 具体的にいえば、自社の製品、サービス、自分の会社に惚れ込んでいるのだ。
 あなたは、自分の製品やサービス、または会社を盲目的に信じているに違いない。しかし、本当に愛着を持つべき相手は、あなたのクライアントなのだ。」
(ジェイ・エイブラハム「ハイパワー・マーケティング」p69)



売っているのは商品ではなく「問題の解決策」

もう1つ忘れがちなのが、顧客が必要としているのは「問題の解決策」であって商品ではないということです。よく引き合いに出される例としては、顧客はドリルを必要としているのではなく、穴をあける手段を必要としているというやつです。これに関連して次のあたりが参考になります。

「自分が実際に売っているものが、商品ではなく「問題の解決策」であるとは思いもよらないのだ。」p78

「クライアントは単に製品やサービスを買うのではない、「最終結果」を買うのだ。これは、見落とされがちだが、大事な事実である。
 製品やサービスを買うのは、クライアントがそれによって、より高い利便性や安全性、娯楽性、経済性、達成感が得られる、または単に自尊心を充たす、と信じているからだ。」
(ジェイ・エイブラハム「ハイパワー・マーケティング」p124-125)

これも最初の点と共通する話ですが、顧客にとって何が良いのかを出発点に考える必要があります。さらに、単に商品やサービスが直接的に与える影響だけでなく、顧客の生活や人生に与える影響まで視野に入れて考えられるとベターです。

「モノだけにとどまってはいけないのである。クライアントの生活やビジネスに貢献しようと努めるのだ。
 自分のビジネスについて誇れる部分をじっくり考えてみよう。
 コンピュータを販売しているなら、ある企業が、あなたのところのコンピュータを買ったため、今では効率よく業務が行えるようになった、という事実に注目しよう。コンピュータ導入のおかげで、その企業の経営者や幹部は経費や時間、そして、たくさんの無駄を削減できたはずだ。三人でやっていたことを今では一人でできる。あなたの販売したコンピュータがそれを可能にしたのだ。
 あなたの製品やサービスがもたらす貢献度や利点に注目するのである。製品やサービスの物質的なモノの価値を考えるだけでは足りないのだ。」
(ジェイ・エイブラハム「ハイパワー・マーケティング」p184)

ドリルの話であれば、穴をあけるのは何のためかを掘り下げ、それが与える影響まで視野に入れる。例えば、棚を作るための穴であれば、その棚があることによって、部屋の荷物をきれいに整頓できて広く使えるようになり、ゆとりをもった空間づかいができるといったところまで考えてメッセージを出す(もっと掘り下げられますが)。そうしていくと、自然にもっと良い結果が得られると思います。


そこで大事なのは、自社の製品やサービスを手段として、顧客の悩みや課題を解決し、それを通じて皆の人生を豊かにするという気持ちを持つことです。本では次のように述べられています。

「ビジネスの成功は、他の人の問題を解決してあげようと願う気持ちから始まる。そうしていくうちに、クライアントの人生を豊かなものにし、その結果、自分自身の人生や、周りの人、つまり、家族や従業員、雇い主などの人生も豊かになる。
 ビジネスの世界に身を置くなら、ただ、お金を稼ぐためという以上に、もっと高い目標があると肝に銘じなくてはいけない。他の人の抱えた問題を解決する手助けをし、選択肢をできるだけ広げてあげ、それを実現する方法を見つけるのに手を貸してあげられる人になるのが、あなたの目標であるべきなのだ。その高い目標を理解しない限り、あなたは、決して自分の可能性を利用できるようにはならない。
 反対に、その目標を納得できれば、自分が人に与えられる影響に気づく。そして、積極的な反応、積極的な行動、よい結果が得られることに気がつく。
 不動産業者との私の話を思い出してほしい。
 彼らは、自分たちは、ただ家を売っているのではない、と気づいた。クライアントの人生をよりよいものにしているのだ。その結果、自分の人生も、家族や同僚の人生もよいものにしている。これが、よい結果でなくて、何だろう?誰にとってもよい結果である。」((ジェイ・エイブラハム「ハイパワー・マーケティング」p76)

自分は業務効率化、生産性向上に役立つクラウドサービスを売っているわけですが、単に業務効率化といってもあまり響きません。業務を効率化したその先に、顧客のビジネスがどう広がるのか、働き方や人生がどう変わるのか、そういったところまで視野に入れてメッセージを発信していかないとなと肝に銘じ直しました。