SaaSまとめ

SaaSの意味
 ユーザは必要な機能のみを必要なときに利用でき、利用する機能に応じた分だけの料金を支払う。必要な機能をユーザがダウンロードし、自身の端末にインストールする形態のものと、サーバ上で動作するソフトウェアの機能をネットワークを介してオンラインで利用する形態がある。近年では後者の形態が多くなっている。

 通常のソフトウェアは、あらゆるユーザにとって必要な機能をすべてまとめ、すべてのユーザに同じ機能を提供するようになっている。このようなソフトウェアは、ある1人のユーザにとっては、あまり必要のない機能が多く搭載された冗長なものとなってしまい、必要のない機能に対しても料金を支払っていることになる。そこで、個々のユーザが本当に必要な機能のみをオンデマンドに利用でき、その機能に対してのみ支払いをするSaaSという考え方が登場した。

 SaaSという用語は、ネットワークを介してソフトウェアをオンラインで利用するという点でASPサービスと似ており、一般的なASPサービスを指す場合もある。

―――――SaaSとは 【Software as a Service】 - 意味・解説 : IT用語辞典


SaaSビジネスへの追い風状況
・個人情報保護や内部統制強化の取り組みを通じて、ユーザーのセキュリティ意識が変化
 →データは自分で持つより第三者に預けた方が安全

・ブロードバンドの一般化、携帯電話のシンクライアント端末としての活用の進展

AjaxなどのWEB技術の進展で、Webアプリケーションの操作性が劇的に向上

情報システム部門の疲弊・劣化により、アプリケーションを作るより利用したいというニーズの変化

郵政公社の大量導入という最強のユーザー事例の登場



SIerSaaSに踏み切れない理由
・数千万円、数億円の案件を追うSIerにとっては、数千円といった規模で多数のユーザーを獲得しなければならないSaaSは、ビジネスモデルが違いすぎる


パッケージソフトベンダーがSaaSに踏み切れない理由
パッケージソフトSaaS化しようとした場合、従来の保守料金分をどこからとるかという問題が発生
 →月額料金に従来の保守料金分を加算すると高い金額に映る


■従来のアウトソーシングSaaSビジネスの収益モデルの違い
 従来のアウトソーシング→収益は安定するが引き下げ圧力にさらされる
 SaaSモデル→当初は苦しいが黒字化後の高い利益率が期待できる
       売上の増加率=ユーザーの増加率×1ユーザー当たりの利用APの増加率


SaaSビジネスで成功するためのポイント
・営業効率の極大化
  手離れの悪い商材を、手離れの悪いユーザーに対して、いかに効率よく売るかがポイント
・初期投資の最小化
  SaaSプラットフォームサービスの活用などで投資を抑えてスタートする
・解約率の最小化
  SaaSビジネスの成否の要。運用経費を削りこみ、その分ソフトウェアの機能を強化。
  ユーザーに使い続けたいと思わせる付加サービスを有料で提供する
・営業の評価制度の見直し
  売上で営業担当者を評価する制度を見直し、SaaSを売る気にさせる
  ex.売上額の予算達成率だけでなく、獲得ユーザー者数の予算達成率でも評価する


―――――「儲かるSaaSはこう作れ!」(日経ソリューションビジネス)2007年10月15日発行(第282号)p22-28